はやしひろおのホームページ/散文系 バッハな旅2002/ベルリン(2)


ベルリン
(2)


フィルハーモニーホール 無断撮影


演奏会にも行ってきました。初の生ベルリン・フィル、しかも本拠地フィルハーモニーでのコンサートです。指揮はニコラウス・アーノンクール、曲は今回のバッハな旅にふさわしい、組曲第1番、バイオリン協奏曲イ短調、バイオリンとオーボエのための協奏曲、組曲第3番というオール・バッハ・プログラムです(ベルリン・フィルにしては超珍しい曲目!)。ソリストはバイオリンがトーマス・ツェートマイア、オーボエはベルリン・フィル主席のアルブレヒト・マイヤー、そしてコンサートマスターは安永徹さんでした。

ベルリン・フィルほどの大オーケストラがバッハをどんな編成でやるのかってのにまず興味があったんですけど、弦は8−8−5−4−3(人数です、プルトでなく)となかなかの大人数、管楽器とティンパニが必要に応じて入るというスタイルでしたが、ティンパニはちゃんと小型のものを使ってました。



演奏の方はまぁ予想通りというか、個性的な解釈炸裂で聴いてて笑いが止まりません。そこまでするかってくらいの過剰な表現意欲。組曲第1番の序曲ではいちいちためてから加速、オーボエ×2&ファゴットのソロも雰囲気あります。バイオリン協奏曲第1楽章での止まりそうなカデンツは今思い出しても笑いを誘いますが、アーノンクール親派のツェートマイアだからこそ解釈が徹底されていたんだろうと思います。当初予定されていたヒラリー・ハーンではここまで面白くならなかったかもしれません、真面目になってしまって(ツェートマイアが不真面目だと言ってるわけじゃなくて)。主席オーボエのマイアーもなんだかんだいってめちゃめちゃうまかったですよ。そしてトランペットとティンパニが加わって祝祭的な組曲第3番では、序曲でコンサートマスター安永徹の長大なソロが炸裂。かなり大変そうでしたが、これはちょっと違和感ありました。やっぱり普段ロマン派以降の作品を弾いてる人たちだし、ホールが大きいので大きい音で弾かないといけないってので、ちょっと僕のイメージするバッハとは違うものになってしまっていました。そしてひたすらにぎやかなこの曲の中で一番印象的だったのはアリア。「G線上のアリア」で有名なこの曲の、ビブラートを廃したシンプルかつ清涼な音はこのコンサートの白眉でしたね。

それにしても彼らはバッハだろうが何だろうが妙に一生懸命弾きます。特にビオラがすごかった。後ろの席の人まで全力で弾いてます。それでいて決してがなるような音ではなく、綺麗なんですね。弦に過剰な圧力をかけることは一切しません。弓の幅とスピードで勝負しているようなイメージです。ちなみにチェロは後ろの2人だけバロック弓を使っていたように見えました。

そしてベルリンでは曲終わってもすぐに拍手をしてはいけません。どこぞのおバカさんみたいに先を競って「ブラボー」と叫ぶなんてもってのほか。真剣に聴き、うーむと一言感嘆のうなり声を発してからおもむろに拍手をします。ほんとによくわかって聴いてるなぁという印象です。そして拍手がとても暖かい。みなさんこの極めて個性的な解釈を受け入れる心の余裕があるようです。



ベルリン・フィルの定期はだいたい同じプログラムを3日ないし4日続けてやるんですが、僕は2日間聴きに行きました。1日目は一番後ろの席。それでも響きすぎることなくしっかり音が飛んできて、ほんといいホールだなぁと思いました。そして2日目は指揮者の真正面。アーノンクールの謎の指揮ぶりを堪能しました。演奏の方は2日目の方がこなれててよかったと思いますが、チェロに関してはファウストさんがソロで音間違えたり、全員で入りを間違えて演奏中に4人揃って顔見合わせて苦笑いしてたり(おいおい)、2日目は散々だったようです。ま、ベルリン・フィルでもそういうことがあるということで安心しておきます。



最後にどこでも同じだなぁと思ったこと。ロビーにはのど飴がおいてあって、自由にもらうことができます。ここでも咳の害に苦しめられているようです。そして開演前のホールの壁には照明で「 Please swich off your mobile phones ! 」の文字が。うーむ。主に観光客向けだろうけど、考えさせられます。

しかしそれでも事件が。2日目、調弦も終わって指揮者の入場を待つばかりという時に、どこからともなく携帯電話の呼び出し音が。騒然。でもすぐに奏者の誰かが何かパフォーマンスやったんだろうね(見逃してしまった)、場内を笑いが包みます。こういうユーモアは見習いたいものですね。




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